Hello-Goodbye

地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子

大浮世絵展に行ってきた

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両国の江戸東京博物館で開催中の大浮世絵展に行ってきた。初期の浮世絵から近代における浮世絵まで約340点が集められており、順番に眺めていくだけでその変遷が垣間見える貴重な展示だ。しかも写楽や北斎などの教科書で一度は見たことがあるような有名作品が一挙に見られるとだけあって平日の朝一番でもたくさんの人が来ていた。

 

驚いたと同時に感動したのは何よりも浮世絵の鮮やかさだった。浮世絵を確立した菱川師宣の「見返り美人図」は東京国立博物館に所蔵されているが、常設展示はしていないので滅多に見ることはできない。大事に保管されてきたことがよく分かるような保存状態だった。教科書や画像で見ると着物の朱色がくすんで見えるが、生で見ると本当に美しい色合いだった。北斎富嶽三十六景も見入ってしまうような藍色。小中学生や高校生も団体で来ていて、「うわー、これ教科書で見たよ!きれい!」と興奮気味に話している姿が可愛らしかった。そうだよねそうだよね。浮世絵って素敵だよね。世界中の人がハマるのもよく分かる。

 

本当は3年前に開催する予定だったこの大浮世絵展。東日本大震災の影響で先延ばしにされ、ようやく開催の運びとなった。敗戦後にお金に困った華族や資産家たちが売り飛ばしてしまった影響で、著名な浮世絵が海外へ流出してしまった。昨年ボストン美術館へ行った際にも大量の浮世絵があったが、やはり日本と同じように表には出ておらず厳重に保管されているようだ。日本には無くても大切に保存してくれているのがありがたい。そんな浮世絵たちがまた日本へ戻ってきて一挙に見られる機会なんてそうそう無いですよ。少しでも興味があればぜひ見に行って楽しんでほしい。ただ、入れ替えが激しいのでそこだけは注意。私は「見返り美人図」や「富嶽三十六景」、国芳のねこの浮世絵は見ることができたものの、写楽の「3代目大谷鬼事の江戸兵衛」は1月26日までの展示、国芳の「相馬の舞台裏」は2月18日〜3月2日が展示期間ということで残念ながら見れずじまいだった。好きな作品があれば出品リストを見て展示日程を確認するのがおすすめ。

http://ukiyo-e2014.com/image/list_tokyo.pdf

 

余談。海女さんの浮世絵があったのだけど、上半身が裸のままでおっぱいポロリしていた。江戸時代のあまちゃんはああいう形で潜っていたのかしら。誰かに見られたりしないのかな。

 

あとは国芳の動物がモチーフの浮世絵。江戸時代の動物(特にねこ)好きとして知られ、ねこ絵が非常にかわいい。「里すずめねぐらの仮宿」という作品ではなんと雀を擬人化して遊女を描いている。1645年に吉原が全焼し、仮営業所での営業が許されることになった。しかしその宣伝をしようにも天保の改革の厳しい検閲により、遊女絵は禁止されていた。それを避けるために遊女や客を雀に擬人化して描いたというわけだ。動物の擬人化浮世絵を見ているとオー!ジャパニーズ!としか言いようがない。国芳あっぱれ。