Hello-Goodbye

地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子

【ネタバレあるかも】「かぐや姫の物語」を観てきた

平日の朝に行ったので劇場窓口には誰も並んでいなかった。前売り券より安いレディースデーすばらしい。話題作とはいえ日にちが過ぎているからか10人程度しかお客さんがいなかった。落ち着いた環境で観ることができて快適でした。

 

竹の中から少女が出てきておじいさんおばあさんに育てられたかぐや姫。「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」という一文から始まる、日本人なら誰でも知っているかなで書かれた最初の物語だ。かぐや姫は5人の貴公子と帝から求婚を受けるも巧みな言葉でそれを拒絶し、最後には8月の満月の夜に月の国へ帰ってしまう。こうやって大まかなあらすじを書くとこれだけの話で、どうやって約2時間半もの映画を作るんだろう?と思っていたら、観て納得した。かぐや姫に寄り添って描いているからこそ作ることができたのだと。

 

予告で見た通り、赤ちゃんの声や動き、子どもたちの遊ぶ様子、草木のさざめき、虫の声などが本当に可愛らしく、美しい。この「かぐや姫の物語」は先に台詞を収録し、その声を聞きながら絵を付けていったとのことだから、きっと赤ん坊時代のシーンも赤ちゃんの声に合わせて描いたんだと思う。動きがいきいきとしている。


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予告編で気になっていたのがかぐや姫が怖い顔をして走る迫力のあるシーン。かぐや姫の心情に合わせて絵のタッチが変わる。「姫の犯した罪と罰。」という言葉の持つ意味がずしんと重いものに感じられた。後半ではその「罪と罰」を背負う姫の姿が描かれ、幸福だった少女時代と嫌でも対比されてしまい、泣けてくる。映画のちらしでも描かれているの桜のシーンでは姫の悲しみと桜の美しさにやはり涙が出た。

 

普段アニメを見慣れてしまっている自分にとっては、かぐや姫役の朝倉あきさんのお芝居は「ムムム」となるところはあったものの、きれいな声でぴったりなんじゃないかと思った。夏ばっぱでおなじみの宮本信子さんのナレーションや高畑淳子さんの相模も良素晴らしい。特に女の童は可愛いですね。物語の中にちょっとした笑いがあると心和むものです。「ムムム」繋がりでいうと、捨丸兄ちゃんと姫が空を飛ぶシーンは「このシーン、入れる必要あるのかな......」と思ってしまったことと、月の国からの使者が登場するシーンの音楽がいささかポップ過ぎやしないか?ということ。特に使者のシーンの音楽は賛否両論ありそう。どうなのかな。

 

かぐや姫が月の国で罪を犯して地上に降りてきた(いわゆる島流し?島じゃなくて地球だけど。)というのが竹取物語の設定だが、この映画ではそういったことには触れておらず、竹取物語について知識の無い子どもが見たら「月へ帰るのが悲しいなら地上に来なければよかったじゃん」と思ってしまうかもしれない。少なくとも私は子どもの頃にそう思っていて、母に「それを言ったらおしまいよ」と窘められたことがあった。

 

まあこんなふうにぶつぶつ言っているけれど、いい映画なことに変わりはありません。「風立ちぬ」と同様に美しい映画。外国人が見たら喜びそうだ。2月か3月あたりに公開だったらもっと良かったかもしれない。

 

今度は「永遠の0」を観に行く予定。